所有者不明の土地の増加とその予防策とは何か:新制度を分かりやすく解説

目次
はじめに
「所有者不明土地」という言葉をご存知でしょうか?これは、登記簿上で所有者が不明、または所有者に連絡がつかない土地を指します。現在、日本全国で所有者不明土地が増加し、社会的な問題になっています。この背景には、人口減少や高齢化、相続登記が任意だったことなどが挙げられます。
この問題に対応するため、政府は新しい法律や制度を整備しました。具体的には、相続登記の義務化や相続人申告登記制度、所有不動産記録証明制度といった新制度が導入されています。また、所有者不明土地の発生を予防するために、いくつかの政策も設けられています。本記事では、これらの制度と政策を分かりやすく解説します。
1 所有者不明土地の現状とその影響
⑴ 所有者不明土地とは?
所有者不明土地は、次のような土地を指します。
・相続登記がされておらず、誰が所有者なのか分からない。
・登記簿に記載された所有者の住所や連絡先が古いまま更新されていない。
⑵ なぜ問題なのか?
① 公共事業の妨げ
道路やインフラの整備、災害復旧が遅れる原因になります。
② 経済活動の停滞
土地の売買や利用が進まず、地域経済が停滞します。
③ 災害リスクの増加
管理されない土地が、土砂崩れや倒木などのリスクを増大させます。
国土交通省の調査によれば、所有者不明土地の面積は九州地方の広さを上回るとも言われています。このまま放置すれば、さらに問題が深刻化することは避けられません。
さらに詳しく所有者不明土地の問題点について知りたい方は、以下の記事をご覧ください↓
2 所有者不明土地の発生を予防する新しい政策
所有者不明土地の増加を防ぐため、政府は以下の政策を導入しました。
⑴ 相続登記申請の義務化
これまで相続登記は任意でしたが、2024年から義務化されました。相続人は、相続が発生したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければなりません。
① 義務化の目的:土地の所有者を明確にし、管理や利用を促進する。
② 罰則:正当な理由なく登記を怠った場合、10万円以下の過料が科されます。
⑵ 登記名義人の死亡等の事実の公示
登記名義人が死亡した場合、その事実を登記簿に公示する制度です。これにより、相続登記が必要な土地を早期に特定でき、所有者不明土地の発生を防ぐことが期待されます。
⑶ 住所等変更登記申請の義務化
登記名義人が住所や氏名を変更した場合、2年以内に変更登記を申請する義務があります。この義務を怠ると、5万円以下の過料が科されます。
⑷ 相続等により取得した土地所有権を国庫に帰属させる制度
相続人が土地を利用する意思がない場合、その土地を国庫に帰属させることができます。ただし、以下のような条件があります。
- 建物や埋没物がない土地。
- 管理に過度な費用がかからない土地。
この制度により、管理されない土地が増えることを防げます。
3 相続登記義務化を補完する新制度
⑴ 相続人申告登記制度
相続人が法務局に対して「相続が発生したこと」と「自分が相続人であること」を申告するだけで、最低限の義務を果たしたとみなされます。この制度により、複雑な遺産分割協議を行う前でも、登記義務を履行することが可能です。
⑵ 所有不動産記録証明制度
相続人が被相続人の所有する全ての不動産を一括して確認できる仕組みです。この制度を利用することで、土地調査の手間が大幅に軽減されます。
さらに詳しくこれらの制度の内容を知りたい方は、以下の記事をご覧ください↓
4 法律事務所が提供するサポート
弊所の役割
所有者不明土地や相続登記に関する問題を解決するため、弊所では以下のサポートを提供しています:
相続人申告登記や所有不動産記録証明制度を活用した手続きを支援します。
① 相続登記の手続き代行:必要書類の収集から登記申請まで、すべてをサポートします。
② トラブルの解決:相続人間の意見の調整や法的アドバイスを提供します。
③ 新制度の活用支援:相続人申告登記や所有不動産記録証明制度を活用した手続きを支援します。
5 まとめ
所有者不明土地の増加は、日本全体の問題です。しかし、相続登記の義務化や新しい制度の導入により、この問題への対策が進められています。
特に、相続人申告登記制度や所有不動産記録証明制度は、相続人の負担を軽減しつつ、土地の適切な管理を促進する重要な役割を果たします。
弊所では、相続登記や所有者不明土地に関するご相談を随時受け付けております。専門の弁護士が、依頼者の皆様がスムーズに手続きを進められるよう全力でサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。


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