法定相続情報証明制度の完全ガイド|手続きの流れ・活用方法を解説

 

はじめに

 相続手続きには、膨大な書類の準備や、何度も役所や金融機関を訪れる手間がつきものです。「もっと簡単にできないの?」と思われる方も多いでしょう。そんな相続手続きの負担を大幅に軽減するために生まれたのが「法定相続情報証明制度」です。

 この制度を使えば、相続に必要な情報を一枚の「法定相続情報一覧図」にまとめることができ、銀行や不動産登記などの手続きが驚くほどスムーズになります。また、相続関係者を整理することもできますから、戸籍を何度も見返す必要もなくなると思います。

 本記事では、この制度の仕組みやメリット、そして具体的な利用方法をわかりやすく解説します。

1 法定相続情報証明制度とは?

 法定相続情報証明制度とは、相続に必要な情報を一枚の「法定相続情報一覧図」にまとめることで、相続手続きを効率化する制度です。この一覧図の写しは法務局で手数料無料で交付され、銀行での相続手続きや不動産登記、税務署での申告に活用できます。

 簡単に言うと、戸籍や住民票等から、被相続人・相続人を整理し、誰が相続人であるかが一目で分かる公的な証明書です。

 例えば、相続人全員の戸籍謄本一式を揃える代わりに、この一覧図の写しを提出することで、手続きを大幅に簡略化できます。また、一覧図の写しは申出から5年間は何枚でも交付してもらえるため、複数の手続きに同時に対応可能です。

2 法定相続情報証明制度のメリット

1. 時間と手間を節約

 一覧図一枚で相続関係を証明できるため、何度も窓口を訪れる必要がありません。特に、複数の金融機関や役所で手続きを行う場合、その効果は顕著です。

 また、大量の戸籍等を持ち歩く必要もなくなります。

2. 費用の軽減

 一覧図の写しの交付手数料は無料です。従来の手続きでは、手続き先ごとに戸籍謄本一式(1通数百円のものを何通も)を提出する必要があり、その分の費用がかかりました。この取得費用を1セット分に抑えられる点も大きなメリットです。

3. 信頼性の高さ

 法務局発行の公的書類であるため、金融機関や役所でも信頼性が高く、スムーズな手続きが期待できます。

4. 遠方の相続人にも対応

 相続人が遠方に住んでいる場合でも、この一覧図だけを郵送することで簡単に共有できます。たくさんの戸籍の原本や、コピーを郵送したりする必要はなくなります。

3 法定相続情報証明制度の手続き方法

⑴ 必要書類の主なもの
 ① 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
 ② 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
 ③ 相続人全員の戸籍謄本(または抄本)
 ④ 【住所を記載する場合】相続人全員の住民票の写し
 ⑤ 申出人の氏名・住所を確認できる公的書類(運転免許証のコピー等)
 ⑥ 法定相続情報一覧図の申出書(法務局サイトからDL)
 ⑦ 法定相続情報一覧図(ご自身で作成するもの)

⑵ 手続きの流れ
 ① 必要書類をすべて揃える
 ② 管轄の法務局へ申出を行う(郵送も可能)
 ③ 法務局で書類が確認された後、一覧図の写しが交付される

⑶ 注意点

 書類に不備があると手続きが遅れるため、事前にしっかり確認しましょう。申出書の記載ミスにも注意が必要です。

4 法定相続情報一覧図の活用方法

⑴ 金融機関での手続き

 銀行口座の解約や名義変更の際に、**これまで必要だった戸籍謄本一式の提出を、この一覧図の写し1枚で代用できます。**複数の銀行での手続きが楽になります。

⑵ 不動産登記

 土地や建物の名義変更手続きが効率化されます。特に、相続人が複数いる場合に便利です。

⑶ 相続税申告

 税務署での相続税申告にも一覧図が活用できます。書類準備の負担を軽減します。

 このように、法定相続情報一覧図は、様々な手続きにおいて、公的書類として利用可能です。

5 法定相続情報証明制度のデメリットと注意点

⑴ すべての手続きに利用できるわけではない

 特殊なケースでは一覧図が使用できないことがあります。

⑵ 必要書類の収集が手間

 被相続人の出生から死亡までの戸籍を揃えるのに時間がかかる場合があります。

 もっとも、この手間は法定相続情報証明制度を利用する、しないに拘わらず発生する負担です。

⑶ 紛失時の対応が必要

 一覧図を紛失すると再発行が必要になります。コピーを作成し保管しておきましょう。

6 よくある質問

Q1: 一覧図の発行費用は?

A:一覧図の写しの交付手数料自体は無料ですが、その前提として必要となる戸籍謄本や住民票の取得には、各役所定の手数料がかかります。

Q2: 有効期限はありますか?

A:一覧図自体に有効期限はありませんが、提出先(特に金融機関)から「発行後3か月以内」など、新しいものを求められる場合があります。

Q3: 紛失した場合は?

A:申出をした日から**5年以内であれば、法務局で何度でも無料で写しの再交付を受けられます。**再度、戸籍謄本等を準備する必要はありません。

7 法律事務所が提供できるサポート

 当事務所では、法定相続情報証明制度を活用した相続手続きをサポートしています。

⑴ 必要書類の収集代行

 法務局への申出手続きのサポート

 相続税申告や不動産登記の手続き代行

⑵ 複雑な相続案件への対応

 専門的な知識と経験を活かし、スムーズな手続きを実現するお手伝いをいたします。

8 まとめ

 法定相続情報証明制度は、相続手続きを効率化し、相続人の負担を軽減する画期的な制度です。

 相続手続きでお困りの際は、ぜひ初回無料相談をご活用ください。専門家が親身にお話を伺い、最適な解決策をご提案いたします。

弁護士の的場崇樹(まとば たかき)
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