再婚により、前妻との子供の遺留分を生前に放棄させた事例

ご相談前のお悩み

 前妻との間に子供がおり、再婚により新たに子を2人もうけたたため、将来において相続人間で相続争いをして欲しくないため、生前に対策をしておきたいとのことで、相談に来られました。

対応内容、結果

事件の種類遺留分放棄、遺言作成
相談者の年齢40代
相続人の人数4人
被相続人と相談者の関係本人
獲得示談金、獲得財産-
解決までに要した時間160日

 弊所で行った処理は、①遺言作成 ②遺留分放棄審判申立書類作成です。
 遺言の作成自体は、再婚後の妻、子供に法定相続分とおりにする遺言を作成しました。
 遺留分放棄の審判申し立てについては、前妻の子を代理して、前妻が申立を行うことであるため、書類一式を用意し、依頼者自身に前妻と交渉をして頂き、無事、申立及び審判決定が出ました。
 遺留分放棄にあたっては、遺留分を放棄する対価を事前に放棄申立者に与えておくことが必要になるため、前妻との子どもとの合意書作成、相続財産目録が必要となってきます。

弁護士の所感

 遺言により、将来に備えて、相続(争族)対策を行うことができます。
 但し、特定の相続人に、財産を承継させようと考えても、他の相続人の遺留分を奪うことができず、遺言には限界があります。そこで、生前に、相続人に裁判所に対して、遺留分の放棄の申立をしてもらうという方法があります
 この遺留分の放棄申立は、極めて珍しい事例です。前妻のこどもに遺留分放棄をさせる事例が一般的ですが、どうしても前妻の子供と被相続人が疎遠になってしまうことが通常で、相続人に予め権利を放棄してもらうことにはハードルがあるからです。
 遺留分放棄では、現時点での被相続人の遺産目録を開示し、かつ、相続人間で不平等とならないように配慮する必要があります。また、遺留分放棄の申立審判決定が出なかった場合には、贈与を取り消す必要もあります。そのため、本件では、遺留分放棄の申立とは別に、これに配慮した合意書を作成する必要もありました。
 また、遺留分放棄については、参考文献があまりなく、実務家でも処理としてなかなか難しいところがあります。
 再婚をされた方、将来相続人が揉めて欲しくないので、生前に相続対策をしておきたい方は、早めに法律の専門家に相談されることをお勧めいたします。

弁護士の的場崇樹(まとば たかき)
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